ナリシゲ(@nari_104)です。
物心ついたころから「野球のある生活」を送っています。中学・高校では野球部に所属。今はすっかり観戦専門になり、野球観戦歴は40年を超えました。
そんな私が一番好きなのが「大学野球」。大学野球には高校野球にもプロ野球にも無い魅力と楽しさが満載です。
この記事では、野球観戦歴40年超の私が、大学野球の魅力と楽しみ方を徹底的に紹介いたします。
大学野球とは
「大学野球」とはその名の通り大学の野球部が行う野球のことです。ひとくちに「大学野球」といっても硬式野球・準硬式野球・軟式野球とありますが、私が観戦しているのは「硬式野球」です。
大学野球の公式戦は主に春と秋に行われています。北海道から九州まで全国に26のリーグがあり、それぞれのリーグ内で試合を行っています。
大学野球のリーグで、最も有名なのが「東京六大学野球連盟」(とうきょうろくだいがくやきゅうれんめい)。早稲田大学、慶応義塾大学、明治大学、法政大学、東京大学、立教大学の6校により構成されている大学野球リーグで、春秋の土曜・日曜に神宮球場(明治神宮野球場)で試合を行っています。
同じく神宮球場で行われる大学野球リーグに東都大学野球連盟があります。「実力の東都」「戦国東都」などと呼ばれる東都大学野球連盟は、東洋大学、専修大学、日本大学など合計21校が所属しており、4部(1部~3部はそれぞれ6校、4部は3校)に分かれて試合を行っています。
大学野球の魅力
ここからは、大学野球の魅力について説明いたします。私が主に観戦する東京六大学野球の話が中心となりますが、何卒ご了承ください。
高校時代のチームメイトが別のチームで戦う
同じ高校でプレイしていた選手が、別々の大学に進んで試合で対戦するといったことが大学野球では少なくありません。
2011年の夏の甲子園大会で優勝した日大三高(東京)の主力メンバーは高校卒業後、東京六大学の東大以外の5校に分かれて進学。まるで漫画「黒子のバスケ」の“キセキの世代”のように、それまでのチームメイトが敵同士として戦うこととなりました。
吉永健太朗投手:早稲田大学(現JR東日本)
鈴木貴弘捕手:立教大学(現JR東日本)
横尾俊建選手:慶應義塾大学(現北海道日本ハムファイターズ)
高山俊選手:明治大学(現阪神タイガース)
畔上翔選手:法政大学(現Honda鈴鹿)
高山選手は東京六大学野球史上最多となる131本の安打を放つ活躍、吉永は1年春にリーグ優勝の原動力となる4勝を挙げ、また鈴木、横尾、畔上の3選手も4年時に主将を務めるなど、5人は大学でも主力選手として存在感を大いに発揮しました。
最近の話では、2017年春のセンバツで優勝した大阪桐蔭高校の徳山壮磨投手と岩本久重選手が早稲田大学に、福井章吾捕手が慶應義塾大学に進学しました。その大阪桐蔭とセンバツで優勝を争った履正社(大阪)のバッテリーも、竹田祐投手は明治大学に、片山悠捕手は立教大学に進学。甲子園の優勝校、準優勝校のバッテリーが敵味方に分かれて戦う試合を見ることができそうです。
高校時代のライバルが同じチームで戦う
逆に、高校時代のライバルが大学では同じチームに所属するというケースもあります。
前述の2017年の春のセンバツで優勝を争った大阪桐蔭の福井章吾主将と履正社の若林将平主将はともに慶應義塾大学に進学しました。
福井選手は入学直後の2018年春のリーグ戦で早くもデビュー。代打での初打席でタイムリーヒットを打つなどの活躍を見せています。若林選手も早めのリーグ戦デビューが予想され、この2人が慶應義塾大学の主力選手として活躍する日もそう遠くはないでしょう。
甲子園のヒーローと無名選手が戦う
甲子園で活躍した選手と、高校時代無名だった選手の対戦も、時には予想外の結果を生み出すことがあります。これも大学野球の醍醐味のひとつ。
私は、2004年の春のセンバツで優勝した済美高校の福井優也投手(現広島東洋カープ)の大学初登板を今でも思い出します。
早稲田大学に進んだ福井投手は、同期の斎藤佑樹投手や大石達也投手とともに非常に期待され、1年春からベンチ入りを果たしました。入学してすぐに行われた、2007年春のリーグ戦・東京大学戦(2回戦)に先発した福井投手は強振する東大打線を前にまさかの3回ノックアウト。以降精彩を欠いた福井投手はこの年0勝に終わり、同じくこの年8勝を挙げた斎藤投手、2勝を挙げた大石投手に大きく後れを取りました。
高校時代に全国大会で優勝し、後にプロ野球に進む選手でさえも大学の壁に跳ね返されます。その「壁」が甲子園で活躍した選手がひとりもいない東京大学だったりすることもあるわけです。やはり大学野球は面白い。
泣ける最終シーズン
負けたら終わり、のトーナメントで行われる高校野球とは違い、大学野球はリーグ戦で行われるケースがほとんどです。トーナメントではないリーグ戦だからこその選手起用というのもあります。
4年生の最終シーズンとなる秋のリーグ戦(リーグや学校によってはもっと引退は早いかもしれませんが)の最終戦近くになりますと、それまでの試合であまり見かけなかった選手がベンチ入りするケースがあります。
そして彼らは試合終盤の、勝負の行方が見えてきた場面で代打、代走で出場します(ピッチャーの場合は1イニング、または打者1人相手に投げるなどの形で登板)。レギュラーではない彼らが、自分の持ち場でチームを支えてきた恩に報いる意味で、監督は彼らに公式戦の出場機会を与えるのでしょう。そういった選手が試合に出たときのベンチの盛り上がりを見ると、涙が出そうになります。「ああ、このチームは良いチームなんだな」って。明治大学の善波監督が秋のリーグ戦でよくこういった起用法を行いますね。
全力の応援団、チアリーディング、吹奏楽部
スタンドで行われる華やかな応援を見るのも大学野球の醍醐味のひとつでしょう。特に東京六大学野球や東都大学野球のように、応援団、チアリーディング、吹奏楽の三部体制で行うところは迫力も抜群です。
もちろん、見るだけでなく一緒に応援することもできます。
東京六大学野球の場合、一塁側と三塁側に「応援席」という席が設定されており、1試合500円で入場できます。原則、この席での飲食は不可となっており、且つ応援団の指示に従わなければなりませんが、応援団と一緒になって応援できる非常に楽しい席です。以前はこの「応援席」には学生しか入れませんでしたが、現在は年齢に関係なく入場可能です。試合によっては学生以外の観客のほうが多いことも。もちろん、その学校の卒業生でなくても入れます。高校野球のように、父兄やOB以外は入りづらいといったことはありません。
こちらの動画は、私が一番好きな東京大学の応援。
東京大学運動会応援部 8回裏 不死鳥の如く→同点→逆転のシーン (2016.09.18)
こちらは明治大学の応援。応援歌の歌詞が分からなくても、歌詞が書かれたボードが掲げられますのでそれを見れば問題なく歌えます。
大学野球の楽しみ方
ここからは大学野球の楽しみ方を説明いたします。「野球そのものの楽しみ方」ともいえるかもしれません。
ひとりの選手を応援する
一番最初は「ひとりの選手を応援する」のが入りやすいかもしれません。甲子園で活躍した選手の応援でもいいですし、母校(高校)の出身者、同県出身者を応援するのも良いでしょう。
好きな学校を応援する
大学野球の場合「自分が通っている(通っていた)学校」を応援する方が多いと思いますが、必ずしもそうでなくても良いと思います。
好きな選手が所属している学校、昔行きたかった学校、ユニフォームが格好いい学校、応援が格好いい学校、理由は何でもいいと思います。
箱推し
私のように観戦歴が長くなると、リーグ全体を応援するようになります。私が好きなのは東京六大学と九州六大学。前者は母校が入っていることと高校の後輩がプレイしていること、後者は高校の後輩が多くプレイしていることがその理由です。後者はなかなか生で観戦できませんが。
有名な選手が多いから東京六大学野球や東都大学野球を応援、でもいいですし、母校が入っているから、好きな学校が入っているから、近くの球場で試合をやっているから、などリーグ全体を応援するきっかけはどんなものでもいいと思います。
ちなみに私の場合は母校(明治大学)を長年応援していましたが、現在は高校の後輩が在籍する東京大学を応援しつつ、東京六大学全体を「箱推し」しています。
大学野球の全国大会
高校野球に春と夏の甲子園(全国大会)があるのと同様、大学野球でも全国大会が年に2回行われています。
全日本大学野球選手権大会
全日本大学野球選手権大会は毎年6月ごろに明治神宮野球場(神宮球場)と東京ドームで開催されます。全国各地の大学野球リーグの春季リーグ戦を勝ち上がったチーム(2018年は28チーム)がトーナメントで優勝を争います。
明治神宮野球大会(大学の部)
明治神宮野球大会は毎年11月に明治神宮野球場(神宮球場)で開催されます。全国各地の大学野球リーグの秋季大会の優勝チームなどの中から11チームが参加し、トーナメントで優勝を争います。
明治神宮野球大会には「高校の部」もあり、同じ日程で開催されます。従って、第1試合と第2試合で高校野球の試合が、第3試合と第4試合で大学野球の試合が行われる日があります。
大学野球リーグのチーム編成の話
大学野球のチーム編成には大きく分けて2種類あります。
東京六大学野球連盟や関西学生野球連盟、九州六大学野球連盟のように固定の6校のみが所属しているリーグと、東都大学野球連盟や愛知大学野球連盟のように、多くの学校が所属し、6校ずつの「部」に分けてリーグ戦を行うリーグがあります。
固定の6校のみで試合を行うリーグのうち、早稲田大学、慶応義塾大学、明治大学、法政大学、東京大学、立教大学の6校により構成されている「東京六大学野球連盟」、京都大学、関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学、近畿大学の6校で構成されている「関西学生野球連盟」は「国立1校+私立5校」で編成されています。東西それぞれの人気校で構成された両リーグは、大学野球の中でも屈指の人気を誇るリーグです。
固定の6校のみで行うリーグ戦は、チーム(学校)が入れ替わらないことによるレベルの停滞が指摘されることもありますが、「東京六大学野球連盟」「関西学生野球連盟」とも東西の人気校が所属していることでリーグ自体の人気は高く、「東京六大学野球連盟」では早慶戦(早稲田大学と慶應義塾大学の試合)、「関西学生野球連盟」では関関戦(関西大学と関西学院大学の試合)、同立戦(同志社大学と立命館大学の試合)は伝統の一戦として特に高い人気を誇ります。
大学野球はこんな人におすすめ
野球の「ストーリー」が好きな人
前述の通り、大学野球では「高校時代のチームメイトが別のチームで戦う」といったケース、逆に「高校時代のライバルが同じチームで戦う」ケースが少なくありません。そういった「選手のストーリー」を追うのが好きな方にはぜひ大学野球観戦をおすすめしたいです。大学野球で「高校野球の続き」を楽しんでください。
高校野球の地方大会が好きな人
高校野球の地方大会を見ていると、甲子園には出場していなくてもレベルの高い選手を数多く見ることができます。それが高校野球の地方大会の面白さのひとつといえるでしょう。
大学野球には、プレイのレベルは高いものの甲子園出場を逃したという選手がたくさんいて、甲子園出場経験のある選手と同等かそれ以上の活躍を見せることもあります。高校時代に無名だった選手が、高校野球の次のステージで活躍する姿に興味があるという方には大学野球の観戦をおすすめします。
高校野球で進学校を応援する人
高校野球好きの方の中に「進学校好き」「公立高校好き」という方がいらっしゃいますが、そういった方にも大学野球、特に国公立大学が私立大学と鎬を削っているリーグの観戦をお勧めしたいです。
東京大学が所属する東京六大学野球連盟、京都大学が所属する関西学生野球連盟、九州大学が所属する九州六大学野球連盟などがおすすめです。
ちなみに私は、野球が強い私立大学に地方の公立の進学校の選手がぽつんと混じっているのが好きです。例えば甲子園組が大半を占める明治大学で米子東高校や長崎西高校出身(ともに県内トップ校)の選手が活躍するとドキドキします。
大学野球のチケット料金
神宮球場で行われる東京六大学野球連盟を例に挙げます。
特別内野席券(ネット裏や内野前列):1,500円
内野席券:1,300円
学生内野席券:800円
外野席券:800円(女性は無料)
応援席券:500円
また、東海大学や日本体育大学、城西大学などが所属する首都大学野球連盟は一般1,000円、大学生・高校生500円、中学生以下が無料とシンプルです。
大学野球の入場料金については各リーグのWebサイトに記載がない場合が多く、非常に不親切であると感じます。大学野球が盛り上がらないのはこういったサービス精神に欠ける部分にも原因がありそうです。
大学野球を見るには
大学野球のテレビ放送は現在ほとんど行われておらず、全国で見られるものとしては春と秋の東京六大学野球・早慶戦の1回戦(土曜日)がBS朝日で、2回戦(日曜日)がEテレで中継される程度です。その他、東京六大学野球の一部カードがスカイAとテレ朝チャンネル2にて録画放送されます。ローカルでは仙台六大学の優勝決定戦の録画中継、関西大学野球の「同立戦」の中継が行われています。
しかし、ネット中継では大学野球を放送するところが増えてきています。東京六大学野球はBIG6.TVとAbemaTVで、FRESH! by CyberAgent内「戦国東都チャンネル」で、首都大学野球は「有明放送局」でそれぞれ生中継されています。
生で大学野球を見たい、という方は近くで行われているリーグの観戦をおすすめします。全国にある26の大学野球リーグの一覧はこちら。
おわりに
近年、高校野球が(地方大会も含め)異常な盛り上がりを見せていますが、選手のストーリーなどを知ることで、大学野球は高校野球以上に楽しめます。もちろん、そういった予備知識が無くても、大学野球のハイレベルなプレーと華やかな応援はきっとあなたをとりこにすることでしょう。
ぜひ一度、大学野球を観戦してみてください。