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【体験談】偽ブランド品を売った「商標法違反」の被疑者として警察の取り調べを受けました※改訂版

【ナリシゲのプロフィール】

福岡県北九州市出身。東京都在住。目標の2拠点生活に向け月1回程度帰省中。
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ナリシゲ(@nari_104)です。

今日の話は、2009年に私が警察で取り調べを受けたときの話です。

警察が作ったストーリーへ誘導され、危うく逮捕されるところでした。

 

2007年にソフト・オン・デマンドを退職した後は病気の治療に専念していたのですが、少しずつ体調も良くなってきたところで、知人の紹介である会社のネットショップ立ち上げの手伝いをすることになりました。 

仕事内容も“リハビリ”としては悪くなく、また職場までは電車で4駅で通勤ラッシュに巻き込まれることもない、回復途上の身にはちょうどいい職場でした。

扱っている商材は男性向けのシルバーアクセサリー。正直言って興味のある分野ではありませんでしたが、実際に商品を見てみると欲しくなるようなものばかりで、ネットショップの運営にも力が入りました。

 

ところがある日、その会社の代表が逮捕されました。

罪名は「商標法違反」。偽ブランド品を販売した疑いとのことでした。

代表逮捕の晩の出来事

警察官が大勢で事務所にやってきて、社内にある商品や書類などを段ボールに入れて持ち帰りました。

いわゆる「押収」というやつです。

私は偽ブランド商品の取り扱いがあるなんて全く知りませんでしたし、商品の仕入れにも関係しておりませんでしたので、これでお役御免だと思っていました。

「面倒なことに巻き込まれたな…」というのが当時の正直な感想です。

気持ちとしては「被害者」でした。

翌朝、警察から電話が

翌日の朝9時ごろ、会社宛てに「ナリシゲさんの話を聞きたいので警察まで来てください」との電話がありました。仕事を終えた後でいいかと尋ねると「出来るだけ早く来てください」とのこと。正直なところ気乗りはしませんでしたが、事件の早期解決のために、と思い私は警察に向かいました。

「よく刑事ドラマに出てくる『参考人』ってやつかなあ…」思いながら警察に行ったのですが、私の立場は180度異なるものでした。

警察に行くと、狭い部屋に通されました。部屋の中には机が1台と椅子が2脚。案内されたのはなぜか奥の席でした。不思議に思っていると、間もなく人相の悪い刑事がやってきました。

その刑事は机の上に1枚の紙を置きました。その紙に書かれていた自分の名前のそばには「被疑者」と書かれてました。

Wikipediaによりますと、「被疑者」とはこのような意味です。

被疑者(ひぎしゃ)とは、捜査機関によって犯罪を犯したとの嫌疑を受けて捜査の対象となっているが、まだ公訴を提起されていない者を指す日本法上の法令用語である。
一般に用いられる容疑者(ようぎしゃ)は、一般に犯罪の嫌疑を受ける者を指す語であり、マスコミ等においては「被疑者」に替えて「容疑者」と呼ぶことが多い。

つまり、よくニュースで聞く「容疑者」と同義です。

私は「参考人」ではなく「被疑者(≒容疑者)」として警察に呼ばれたのでした。

人相の悪い刑事からの執拗な取り調べ

人相の悪い刑事から「黙秘権」の説明を受け、その後取り調べがスタート。

いろんな言い回しで質問してきましたが、聞いていたのはただひとつ。

 

「偽ブランド商品って知ってて売ってたんだろ?」

 

ということです。

先に述べた通り、アクセサリーに全く興味の無かった私は、ブランドなど全く知りません。当然、偽ブランド品の存在に気づくはずがありません。

刑事さんには「偽ブランド品だとは知りませんでした」と何度も説明したのですが、なかなか取り合ってもらえませんでした。

あまりにも同じようなやり取りが続くので、僕は刑事さんに聞きました。

 

「すみません。どうすれば話を終わらせてもらえるんですか?」

 

人相の悪い刑事は言いました。

「お前が本当のことを言ったら終わらせてやるよ。」と。

 

私はずっと「本当のこと」を言い続けていたのですが、 それは警察が想定した答えではなかったのでしょう。

警察が作ったストーリーでは「私が偽ブランド商品の存在を知っていて販売していた」ことが「本当のこと」だったのだと思います。

 

取り調べは延々続きました。

何度本当のことを言っても、話は終わりません。

 

刑事「お前、本当は偽ブランド品だって知ってたんだろ?」

私「知りません」

刑事「こんな有名なブランドのマークを知らないわけないだろ?」

私「すみません。勉強不足です」

刑事「で、商品はどこから仕入れてたんだ?」

僕「知りません」

 

こんなやり取りが6時間ほど続きました。だんだん正常な判断が出来なくなってきます。

私がこのときに考えた、この取調室から出る方法は以下の2つでした。

 

①「偽ブランド商品であることを知っていた」ことを認める

②頭がおかしくなったふりをして部屋の中でうんこを漏らす

 

この場から逃れたい一心で、やってもいない罪を認めてしまうのが①です。

ただ、一度罪を認めてしまうとそれをひっくり返すのは100%無理でしょう。

今行われている、長くて辛い取り調べから一時的に逃れることができるだけで、その後にもっと辛いことが待っています。

とても①は選べません。

正常な判断力が失われつつありますから、②のような選択肢も思い浮かびます。

取調室で突然うんこをすれば、頭がおかしいヤツとして扱われ、解放されそうな気がしたんです。

しかしそれは人間としてのプライドが許しませんでした。

僕は考え直して、意地でも本当のことを言い続けることに決めました。仮に拘留されることになったとしても。

 

人相の悪い刑事からのムカついた質問

取り調べの最中に、今回の事件には関係ないことも聞かれました。

出身地の話、家族構成の話などを聞いてきたのは、この犯罪者がどういう人生を送ってきたかを知るためのものなのでしょう。

当然、前職の話も出ました。

 

刑事「このソフト・オン・デマンドってのは何の会社だ?」

私「アダルトビデオを販売している会社です。」

刑事「お前みたいなのが勤めていたような会社だからおおかた裏ビデオの会社だろ?」

私「いえ、違います」

刑事「嘘をつくな!」 

 

これは許せるにしても、「鬱病はサボり。ダメなやつがなる病気」と言われたときには反論したくなりました。

しかし、ここで反論してしまうと刑事の思うツボですので、私はグッとこらえました。

取り調べ終了

終電の時間が近づいてきたこともあり、私は解放されました。

人相の悪い刑事は最後にこう言いました。

 

「本当のことを言うまで何度でも来てもらうからな!」

 

食事もとらずに半日くらい拘束されていたようです。カツ丼が出るのなんてドラマの中だけです。

数日後、再度警察に。そして検察に

数日後、再度警察に呼び出されました。

このときはもう自分が「被疑者」であると自覚していましたから、急いで警察に向かいました。

数日前と同じ部屋で待っていたのは、表情の柔らかな初老の刑事でした。

その初老の刑事は、前回と同じ質問を私に投げかけます。

 

「偽ブランド品と知ってて売ってたんですよね?」

 

もちろん私は否定しました。

しかし前回の取り調べとは異なり、初老の刑事は私の話を全て聞いてくれました。 

呼び方も「お前」ではなく「あなた」。前回の取り調べと比べますと、まるで「北風と太陽」です。

あまりの和やかさに気が緩んでしまいそうになりましたが、これも警察の作戦ではないかと思い、何とか堪えました。

この日の取り調べは約3時間で終了。

 

さらに数日後、今度は検察に呼び出され、検察官から取り調べを受けました。

この取り調べも比較的穏やかでしたが、私は油断することなく慎重に会話しました。

晴れて不起訴に

結果として私は「不起訴」になりました。

最後に警察に行ったときに、最初に私を取り調べた人相の悪い刑事がバツの悪そうな表情をしていたのを今でも覚えています。(言葉遣いも丁寧なものになっていました) 

警察での用事を済ませて帰ろうとしたところ、初めて見る若手の刑事がにこやかに話しかけてきました。

 

「ナリシゲさん、ソフト・オン・デマンドで働いてたんですって?僕(高橋)がなりさんのファンなんですよ。今度いろいろ話を聞かせてくださいね!」

 

もう警察で話をするのは御免です。

しかも供述調書で得た情報で何を言っているのかと。

今考えると危なかったのかも

私は逮捕されたわけではなく、実際に関与していたわけでもありませんので、最終的に罪に問われることはないと思ってました。

でもその認識は少し違っていたようです。

私のケースは「在宅事件」と呼ぶらしいのですが、逮捕されなかったからといって決して罪に問われないわけではないようです。

在宅事件とは,被疑者を身柄の拘束しないで手続を進める事件のことです。 一方,身柄事件とは,被疑者を逮捕・勾留によって身体的に拘束して手続を進める事件を言います。

刑事事件というと,逮捕・勾留される身柄事件を思い浮かべることが多いかと思いますが,実際には比較的軽微な事件では在宅事件になることも少なくありません。

それでは,どのような場合に身柄事件とされ,どのような場合に在宅事件とされるのかが気になるところですが,明確な基準が公表されているわけではありません。

また,逮捕されても,勾留されずに在宅事件になるケースもありますし,勾留後に身柄拘束の必要性が消滅するなどして釈放され,その後は在宅事件として処理されるケースもあります。

反対に,在宅事件として捜査が進められた結果,証拠が十分に揃ったので逮捕されるというケースもあります。

なお,注意しなければならないのは,在宅事件であるからといって,不起訴処分になるとは限らないということです。

一般的には,身柄事件よりも在宅事件の方が処分が軽くなることが予想されますが,在宅事件でも公判請求され,実刑になることもあり得るのです。

(出典:アーク東京法律事務所

逮捕の有無と、起訴・不起訴は関係ないんですね。

私も状況によっては起訴されていたのかと思うと、とても恐ろしいです。

 

もし逮捕され、拘束されての取り調べだったら、その苦しさに耐えきれずにやってもない罪を認めていたでしょうね。

その場合でも、おそらく罰金で済んだのだとは思うのですが、やってもいない罪を認めたことに対する自己嫌悪や、何より「犯罪者」となったことで、絶望感を味わっていたことでしょう。

 

苦しくても、正しさを貫いて良かったです。

全てを終えて思ったこと

  • 取調室が意外と狭かった(窓もなかった)
  • 丼ものが出るのはテレビの刑事ドラマだけっぽい
  • 「無罪推定の原則」なんて嘘。被疑者なのに犯人扱い。しかも過去まで否定される。
  • よく言われる「ストーリーに沿った取り調べ」、本当にある模様
  • 本当に「罪を認めるまで帰してくれない」勢いだった。これでは冤罪が生まれるのも無理はない
  • 供述調書はどう使われるか分からない

そして、一番強く思ったのは

 

「どんなに取り調べが苦しくても、やってもない罪を認めない、心の強さを持つこと」

 

です。

 

(※この記事は2016年2月16日に書いたものをリライトしたものです)

 

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